美容室の電気代は、他の店舗業種にくらべて見るところが少ない業種です。理由は、動力(低圧電力)の契約がない店が多いからです。
動力があるかどうかで、話が変わります
電気料金の明細を見てください。「低圧電力 ○kW」の記載がなければ、契約は電灯だけです。
| 動力あり | 動力なし(多くの美容室) | |
|---|---|---|
| 主な機器 | 業務用エアコン、大型機器 | ドライヤー、シャンプー台の給湯、照明、エアコン |
| 見るところ | 動力の契約電力+電灯の契約容量+調整費 | 電灯の契約容量+調整費 |
動力がない場合、確認すべきは実質2つだけです。
1. 契約容量(kVA)が実態に合っているか
従量電灯Cの基本料金は、契約容量1kVAあたり約312円です。6kVAなら月約1,870円、10kVAなら月約3,118円。使っても使わなくてもかかります。
美容室で容量が過大になりやすいのは、次のような場合です。
- 居抜きで入った — 前のテナントの業態が違うのに、容量をそのまま引き継いでいる
- セット面を減らした — 席数を減らしたのに契約は当時のまま
- 機器を入れ替えた — 省エネ型のドライヤーやエアコンに替えている
ただし下げる前に必ずピークを確認してください。美容室は、夕方に複数のドライヤーとエアコンが同時に動く瞬間があります。ここを見ずに下げるとブレーカーが落ちます。目安は、ピーク時の実測の1.2〜1.3倍(当サイトの目安)を残すことです。
2. 調整費のタイプ
電気代のうち毎月変わる部分が「調整費」です。ここは単価表に載りません。
美容室にとって重要なのは、日中中心の営業が市場連動型と相性が良いという点です。
卸電力価格は、昼(太陽光の発電量が多い時間)に下がり、夕方から夜(17〜21時)に最も高くなります。10時開店・19時閉店といった営業なら、安い時間帯に営業時間の大半が収まります。
ただし、これは「市場連動型を選ぶべき」という意味ではありません。市場連動型は高騰した月に上限なく上がります。2021年1月の寒波のときには、卸電力価格の月平均が通常の約11倍になり、市場連動型の契約者から高額な請求の相談が相次ぎました(電力・ガス取引監視等委員会)。
判断は、平均で得かどうかではなく、最悪の月を払えるかどうかです。個人経営の店で、ある月だけ請求が3倍になったら回らない——そう思うなら、上限のあるプランを選ぶ理由は十分にあります。
個人名義でも対象です
「法人向けプラン」という名前がついていても、法人格は要件ではありません。従量電灯Cや低圧電力は「事業用」の契約区分であって、個人事業主の店舗もそのまま対象です。
見直しの効果は小さくても、手間も小さい
美容室は使用量そのものが大きくないので、切り替えで動く金額は月数千円という規模になることもあります。ただし手間も小さいです。工事は原則なく、いまの会社への解約連絡も不要で、送配電網は変わらないので停電もしません。
月に数千円の差でも、続く限り毎月です。年間では、その12倍になります。