店舗や事業所の電気代を下げたいとき、比較サイトで一覧を眺めることから始める方が多いと思います。しかし、その前に確認すべきことが3つあります。ここを飛ばすと、比較の結論そのものが変わってしまいます。
手順1:契約容量が実態に合っているか
基本料金は使用量に関係なくかかります。動力(低圧電力)の基本料金は1kWあたり約1,098円で、電灯の3倍以上です。契約が実態より2kW大きいだけで、年間約26,000円が無駄になります。
前のテナントの契約をそのまま引き継いでいる、開業時に余裕を持たせすぎた、機器を省エネ型に替えたのに契約はそのまま——こうしたケースは珍しくありません。
会社を切り替えなくても下がる部分なので、ここから確認します。
手順2:いまの調整費のタイプを知る
電気代のうち毎月変わる部分が「調整費」です。これには大きく3つのタイプがあります。
| タイプ | 何に連動するか | 高騰時 |
|---|---|---|
| 燃料費調整型 | 燃料の輸入価格(3か月平均) | 反映が遅く、緩やか |
| 独自の調達調整型 | 各社の調達コスト(実質は卸市場価格) | 速く、大きく動く |
| 市場連動型 | 卸電力市場の価格(30分ごと) | 最も直接的に動く |
同じ「安い会社」に見えても、この3つは性質がまったく違います。平時の単価が安いプランほど、変動を利用者が引き受ける設計になっている傾向があります。
いまの契約がどのタイプかは、約款の調整費の計算式を見れば分かります。JEPXのスポット価格が式に入っていれば、名前が何であれ市場連動です。
手順3:電気を使う時間帯を把握する
卸電力価格は、昼(太陽光が多い時間)に下がり、夕方から夜(17〜21時)に最も高くなります。
- 平日の日中に稼働する事務所・工場・クリニック → 安い時間帯と重なる
- 夜が営業のピークになる飲食店・居酒屋 → 高い時間帯と重なる
夜型の店舗が市場連動型を選ぶと、平均単価では安く見えても実際の請求額で逆転します。
そのうえで比較する
3つを確認してから比較すると、見るべき数字が変わります。
見るべきなのは「基本料金+従量単価」ではなく、「調整費と再エネ賦課金まで足した、あなたの使用量での月額」です。
比較サイトの表に並んでいるのは、ほとんどが前者です。後者は毎月変わるうえ、使用量によって順位が入れ替わるため、一覧表にしにくいのです。
切替そのもののリスクは小さい
判断が難しい一方で、切替の手続き自体は簡単です。
- 停電しません——送配電網は同じ設備を使います
- 工事は原則不要です——スマートメーター未設置の場合のみ交換が入りますが、費用はかかりません
- 現在の会社への解約連絡は不要です——新しい会社が手続きします
- 切替にかかる期間は、スマートメーターの交換が不要ならおよそ4日、必要ならおよそ2週間が目安です(資源エネルギー庁)
確認すべきなのは解約金です。事業者向けプランには期間拘束と違約金があるものがあります。違約金の額はプランによって違うので、申込前に必ず確認してください。
まとめ
- 契約容量を確認する(切替なしで下がる可能性がある)
- いまの調整費のタイプを知る(約款の計算式を見る)
- 使う時間帯を把握する(夜型か日中型か)
- そのうえで、自分の使用量での月額で比較する
- 解約金の有無を確認してから申し込む