飲食店の電気代には、他の業種と違う事情が2つあります。動力の基本料金が重いことと、営業時間が卸電力価格の最も高い時間帯と重なることです。
まず、動力の基本料金を確認してください
飲食店にはたいてい2つの契約があります。
| 契約 | 何に使われるか | 基本料金 |
|---|---|---|
| 従量電灯C(電灯) | 照明・レジ・コンセント | 契約容量1kVAあたり約312円 |
| 低圧電力(動力) | 業務用エアコン、冷蔵・冷凍庫、製氷機、食洗機 | 契約電力1kWあたり約1,098円 |
動力の単価は電灯の3倍以上です。 動力の契約が10kWなら、1kWhも使わなくても月に約11,000円、年間で約13万円かかります。
そして飲食店では、この契約が実態より大きいままになっていることが珍しくありません。
- 居抜きで入った — 前の店の業態が違うのに、容量だけ引き継いでいる
- 開業時に余裕を持たせた — 席を増やす予定が、結局そのまま
- 機器を入れ替えた — 省エネ型の冷蔵庫やエアコンにしたのに、契約は変えていない
会社を切り替えなくても下がる部分なので、ここから確認してください。
次に、営業時間と卸電力価格の関係
卸電力市場の価格は、1日のなかで数倍動きます。おおまかな傾向はこうです。
- 深夜(0〜5時) — 安い
- 昼(10〜15時) — 太陽光の発電量が多く、下がる
- 夕方〜夜(17〜21時) — 太陽光が落ち、需要はピーク。最も高い
夜が営業の中心になる店は、最も高い時間帯に使用が集中します。
これが何を意味するか。市場連動型のプランは「平均すると安い」と説明されますが、あなたの店の使用は平均に従いません。高い時間帯に偏っているぶん、平均単価で計算した見積もりより実際の請求額は高くなります。
昼のカフェと夜の居酒屋では、同じ使用量でも請求額が変わる、ということです。
だから、飲食店で見るべき順番はこうなります
1. 動力の契約容量が実態に合っているか
電気料金の明細に「低圧電力 ○kW」と書かれています。実際のピーク使用電力と比べて過大なら、そこを下げるのが最も確実です。切り替えより先に効きます。
2. 調整費のタイプ
電気代のうち毎月変わる部分が「調整費」です。約款の計算式にJEPXのスポット価格が入っていれば、プラン名が何であれ市場連動です。夜型の店では、ここが不利に働きます。
3. そのうえで、実際の請求額で比較する
見るべきは「基本料金+従量単価」ではなく、調整費と再エネ賦課金まで足した、あなたの使用量での月額です。
電気とガス、どちらを先に見るか
「飲食店はガス代のほうが大きい」と思われがちですが、厨房がガス中心でも、業務用エアコンと冷蔵・冷凍が24時間動くため、電気代のほうが大きくなりやすい構造です。
加えて、電気は切り替えの手間が小さいという違いがあります。送配電網は変わらないので工事は原則不要で、いまの会社への解約連絡もいりません。ガスは供給設備の関係で選択肢が限られることがあります。
先に電気を確認するのが実務的です。
確認する前に用意するもの
明細が1枚あれば概算は出ます。ただし飲食店は季節による差が大きいので、可能なら12か月分を揃えてください。夏のピークだけで比較すると、年間では合わない結論になります。