この記事の結論(2026年9月分)
1. 従量電灯Bは、国の認可を受けた「規制料金」です。契約アンペア(10〜60A)で基本料金が決まります。
2. 調整費には法令の上限があります。今月は関西・九州で上限に到達しています。
3. 全国10エリアの請求額目安は北海道10,033円〜関西6,729円まで差があります(月260kWhの目安)。
安いかどうかは単価表だけでは決まりません。調整費まで足すと、順位は入れ替わります。
「従量電灯B」は、電気料金の明細やお知らせによく出てくるプラン名です。使った電気の量に応じて料金が増える、 大手電力(旧一般電気事業者)の料金プランで、新電力に切り替えていない約4人に3人が、いまもこのプラン (または各エリアの従量電灯A)を使っています。
この記事では、A・Cとの違い、法令の上限、全国10エリアの2026年9月分の請求額、新電力から戻す手続きを、 各社の公式ページと一次資料だけで説明します。予測はしません。
従量電灯Bとは何ですか?
従量電灯Bは、使った電気の量に応じて料金が増える、大手電力の料金プランです。契約アンペア(10〜60A)によって基本料金が決まります。
正式には、国(経済産業大臣)の認可を受けた「特定小売供給約款」にもとづく規制料金というプランで、電力の小売が自由化される前から続いています。 基本料金は契約アンペアに、電力量料金は使った量に応じた3段階の単価に、そのときどきの調整費(燃料費調整額)を足して決まります。
北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力ミライズ・北陸電力・九州電力の6社は、家庭向けの規制料金をこの「従量電灯B」という名前で提供しています。 同じ「B」でも、電力会社によって契約の決め方が違うことがあるので、次の章で確かめてください。
従量電灯BとAの違いは何ですか?
A・B・Cは全国共通の料金ランクではなく、名前の付け方は電力会社(エリア)で違います。Bは契約アンペア(10〜60A)で基本料金が決まり、Aはアンペアという単位を使わず「最低料金制」で決まります。

出典:中部電力ミライズ「従量電灯A・B・C」、東京電力エナジーパートナー「料金単価表‐電灯」、中国電力「料金プラン一覧」
関西電力・中国電力・四国電力は、家庭向けの規制料金を「従量電灯A」という名前で提供しています。 契約アンペアを申し込む必要がなく、最初の何kWhかまでは「最低料金」という定額で、それを超えると3段階の単価がかかります。 沖縄電力も同じ最低料金制ですが、名前に文字が付かず単に「従量電灯」です。
- 中国電力の従量電灯A: 最低料金759円68銭(最初の15kWhまで)
- 四国電力の従量電灯A: 最低料金666円89銭(最初の11kWhまで)
- 関西電力の従量電灯A: 最低料金522円58銭(最初の15kWhまで)
- 沖縄電力の従量電灯: 最低料金643円05銭(最初の10kWhまで)
つまり「A」か「B」かは安さの違いではなく、そのエリアが契約アンペアという仕組みを使っているかどうかの違いです。 最低料金制のエリアでは、診断のときにアンペアを聞かれません。
従量電灯BとCの違いは何ですか?
Cは、店舗や事務所など契約容量が6kVA以上50kVA未満になる契約向けのプランで、Bより契約が大きい場合の名前です。
東京電力の場合、基本料金は同じ311円75銭という単価を、Bは10Aあたり、Cは1kVAあたりという形で使っています。 契約の単位(アンペア・kVA)が違うだけで、電力量料金の3段階単価も共通です。
会社によって名前の付け方が違う点には注意が必要です。中国電力は、東京の従量電灯Cにあたる6kVA以上の契約を「B(6kVA以上)」と呼びます。 基本料金は1kVAあたり447円97銭で、名前だけでは契約の大きさを判断できません。
一般家庭で契約容量が6kVA(60A相当)を超えることはほとんどなく、Cは主に店舗・事務所向けです。 店舗や事務所の電気代の仕組みは業種別の電気代で、契約容量そのものの考え方は 契約容量で詳しく説明しています。
従量電灯Bの基本料金と電気料金はいくらですか?
基本料金は契約アンペアで決まります。東京電力なら30Aで935円25銭です。
全国では、北海道の1,254円から北陸の907円50銭まで差があります。

出典:各社の2026年9月分の燃料費調整単価のお知らせ・料金プラン表。計算は当サイト
以下は、2026年9月分の調整費で、月260kWh・契約30A相当(最低料金制のエリアはアンペアを問いません)を使ったときの請求額目安です。 使用量や契約アンペアが変われば金額も変わります。あくまで比較のための目安です。
| エリア(大手電力) | プラン・決め方 | 調整単価 | 月260kWhの請求額目安 |
| 北海道(北海道電力) | 従量電灯B アンペア制・30Aで1,254円 |
▲4.99円 | 10,033円 |
| 東北(東北電力) | 従量電灯B アンペア制・30Aで1,108.8円 |
▲7.24円 | 7,789円 |
| 関東(東京電力) | 従量電灯B アンペア制・30Aで935.25円 |
▲6.46円 | 7,844円 |
| 中部(中部電力ミライズ) | 従量電灯B アンペア制・30Aで963.42円 |
+2.63円 | 7,702円 |
| 北陸(北陸電力) | 従量電灯B アンペア制・30Aで907.5円 |
▲6.67円 | 7,658円 |
| 関西(関西電力) | 従量電灯A 最低料金制・最低料金522.58円(最初の15kWhまで) |
+2.24円* | 6,729円 |
| 中国(中国電力) | 従量電灯A 最低料金制・最低料金759.68円(最初の15kWhまで) |
▲8.43円 | 7,444円 |
| 四国(四国電力) | 従量電灯A 最低料金制・最低料金666.89円(最初の11kWhまで) |
▲5.67円 | 7,668円 |
| 九州(九州電力) | 従量電灯B アンペア制・30Aで948.72円 |
+1.96円* | 6,935円 |
| 沖縄(沖縄電力) | 従量電灯 最低料金制・最低料金643.05円(最初の10kWhまで) |
▲10.27円 | 8,715円 |
参考までに、東京電力・従量電灯B(30A・260kWh)の内訳は、基本料金935円+電力量料金8,672円+調整費▲1,680円+再エネ賦課金1,087円+国の支援▲1,170円=7,844円です。
従量電灯Bに上限はありますか?
あります。従量電灯Bの調整費には法令の上限があり、上限を外すには経済産業大臣の認可が必要です。

出典:資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」、関西電力・九州電力の2026年9月分の燃料費調整単価のお知らせ
燃料の値段が上がり続けても、平均燃料価格が基準燃料価格の1.5倍を超えた分は調整に反映されません。 上限があるのは調整費(燃料価格を反映する部分)だけで、電気料金の総額そのものに上限があるわけではありません。 基本料金や電力量料金は上限の対象外です。
これは規制料金だけの仕組みで、新電力の自由料金プランの多くには上限がありません。ただし上限には 「法令の上限」(規制料金)と、会社が任意に決めて撤廃もできる「約款の上限」(自由料金の一部)の2種類があり、 2026年9月分は関西・九州で法令の上限に到達しています。上限の詳しい仕組みと今月の状況は 燃料費調整の上限で説明しています。
従量電灯Bのほうが安いのはなぜですか?
必ず安いわけではありません。比較する相手のプランと、月ごとに変わる調整費によって変わります。
「規制料金は歴史的に割安」という説明を見かけますが、その根拠になる一次資料は見つかりません。 規制料金の調整費には法令の上限があるため、燃料が高騰した月は自由料金より安く済むことがあります。 ただし基本料金や電力量料金そのものは会社ごとに違うため、上限の有無だけでは決まりません。 実際に安いかどうかは、次の章のように請求額そのもので比べる必要があります。
今月、従量電灯Bのままでいいですか?
エリアによって違います。この記事で比較対象にしている会社の範囲では、関西と沖縄は今月も最も安い部類ですが、他の8エリアには、月260kWhで247円〜1,058円安いプランがあります(2026年9月分)。
| エリア | 従量電灯の請求額目安 | 比較対象で今月いちばん安いプラン | 差 |
| 北海道 | 10,033円 | エバーグリーン・リテイリング 基本プラン 北海道 MP/AP 従量電灯B(比較対象28プラン中) |
665円 高い |
| 東北 | 7,789円 | TERASELでんき TERASEL東北B(比較対象27プラン中) |
249円 高い |
| 関東 | 7,844円 | TERASELでんき 超TERASEL東京B(比較対象34プラン中) |
300円 高い |
| 中部 | 7,702円 | Green People's Power スタンダードでんき(中部)(比較対象30プラン中) |
1,058円 高い |
| 北陸 | 7,658円 | エネアークでんき セットB(北陸)(比較対象27プラン中) |
247円 高い |
| 関西 | 6,729円 | 関西電力 従量電灯A(比較対象28プラン中) |
差なし(最安) |
| 中国 | 7,444円 | TERASELでんき TERASEL中国A(比較対象27プラン中) |
318円 高い |
| 四国 | 7,668円 | オクトパスエナジー シンプルオクトパス(比較対象26プラン中) |
453円 高い |
| 九州 | 6,935円 | TERASELでんき TERASEL九州B(比較対象27プラン中) |
287円 高い |
| 沖縄 | 8,715円 | 沖縄電力 従量電灯(比較対象5プラン中) |
差なし(最安) |
「今月いちばん安いプラン」は、この記事で比較対象にしている会社の範囲での話です。沖縄はまだ比較対象が少なく(5プラン)、 北海道・関東は30プラン前後を比べています。この順位は毎月の調整費で変わるため、来月も同じ結果とは限りません。 特典やキャッシュバックはこの金額に含めていません。
いまの契約が本当に従量電灯Bかどうか、候補となるプランとの差がいくらかは、 電気代を診断するで自分の使用量に近い条件で確かめられます。
新電力から従量電灯Bに戻せますか?
戻せます。ただし手続きは電力会社ごとに違います。東京電力エナジーパートナーの例では、電話でのみ申し込みができ、切替日にあわせて、いまの新電力の解約連絡を自分で行う必要があります。

出典:東京電力エナジーパートナー「他社から東京電力の規制料金プランに電気の契約を切り替えたい」
戻す手続きは、切り替え先の電力会社に確認してください。以下は東京電力エリアの例です。 東京電力エナジーパートナーは、他社から自社の規制料金プラン(従量電灯・低圧電力など)へ切り替える場合について、 「規制料金プランへの切り替えは、お電話でのみ承ります」「お申込みの際に『切替日』をご案内しますので、 現在ご契約中の電力会社さまへご連絡のうえ『切替日』で解約手続きを行ってください」と案内しています。
一方、同じ会社の自由料金プラン(スタンダードなど)への切り替えは、Webの手続きだけで完結し、 いまの会社への解約連絡は不要です。規制料金に戻すときだけ、電話申し込みと旧契約の解約連絡が自分で必要になるという違いがあるため、 申し込みの前に、契約先の会社の案内で手順を確かめてください。他のエリアでも、規制料金への切り替えは各社の窓口で確認できます。
電力会社を切り替えても、新たに電線を引く工事は不要で、停電しやすくなることもありません。
まとめ
- 従量電灯Bは、国の認可を受けた規制料金です。契約アンペア(10〜60A)で基本料金が決まります
- A(最低料金制、関西・中国・四国・沖縄)、B(アンペア制、北海道・東北・関東・中部・北陸・九州)、C(6〜50kVA、店舗・事業所向け)は契約の決め方の違いです
- 調整費には法令の上限があります。2026年9月分は関西・九州で上限に到達しています
- 全国10エリアの請求額目安は北海道10,033円〜関西6,729円まで差があります(月260kWhの目安)
- 「安いから」ではなく、月ごとの実額で比べる必要があります。今月の目安は電気代を診断するで確認できます
- 新電力から戻すときの手続きは会社ごとに違います。東京電力エリアの例では、電話申し込み+旧契約の解約連絡が自分で必要です