この記事の結論
1. 新電力は2016年の自由化で参入した会社で、登録数は820事業者(2026年9月14日現在)です。
2. 固定費が薄いことに加え、法令の上限を持たない設計であることが、平時の安さにつながっています。当サイトで確認できた新電力353プランに、法令の上限は0件でした。
3. 上限がない分、燃料が大きく上がった月は差が縮まります。2023年1月分は、東京電力の同じ会社内(規制料金と自由料金)で1kWhあたり7.86円の差がつきました。
2026年9月分は新電力が優位です。ただし総額は基本料金まで含めて決まり、来月も同じ順位とは約束できません。
新電力の単価が大手より安いのを見て、「どうやってこの値段が出せるのか」と疑問に思う方は多いと思います。
答えは値引きではありません。法令の上限を持たない設計だからです。上限がない分、燃料や市場価格が大きく上がった月には、逆に高くなることもあります。
エネチェックは電力会社ではない、電気料金の比較サイトです。数字は各社の約款と毎月のお知らせを編集部が開いて確かめ、取得元つきで登録しています(編集方針)。
なぜ安いか / 上限がないと何が起きるか / 撤退・倒産のリスク
新電力とは、どんな会社ですか?
2016年4月の電力小売全面自由化で、電気の小売業への新規参入が全面的に認められた会社です。
資源エネルギー庁は、2016年(平成28年)4月1日以降、電気の小売業への参入が全面自由化され、家庭や商店を含むすべての消費者が電力会社や料金メニューを自由に選べるようになったと説明しています。
それまで電気を売れたのは、各エリアの大手電力(北海道電力〜沖縄電力の10社。この記事では「旧一電」と呼びます)にほぼ限られていました。自由化後に新しく参入した会社を、まとめて「新電力」と呼びます。

出典:資源エネルギー庁「登録小売電気事業者一覧」(令和8年9月14日現在)。新規参入の数は当サイトの引き算です。
資源エネルギー庁の登録小売電気事業者一覧には、2026年9月14日現在で820事業者が並びます。旧一電10社を含む数なので、自由化後に新しく参入した会社はおよそ810社です。
ただしこれは登録数であり、家庭向けに実際に売っている事業者の数とは別です。ガス会社・石油会社・通信会社の子会社や、独立系の新規事業者など、成り立ちはさまざまです。
新電力を契約しても、電気を届ける送配電網は変わりません。停電のしやすさや電気の品質は、どの会社と契約しても同じです。
賃貸のアパート・マンションでも契約できます。工事や立ち会いは原則不要で、申し込みだけで切り替わります。
具体的な会社名と金額を先に知りたい方は、新電力だけのランキングでエリアごとの実額を確認できます。
新電力はなぜ安いのですか?
固定費が薄いことと、法令の上限を持たない設計であることの2つでできています。
大手電力会社は、発電所を持ち、送配電の人員を抱え、全国に営業拠点を置いています。これらの固定費は電気料金に乗ります。
一方、新電力の多くは発電所をほとんど持っていません。電気は卸電力市場(JEPX)や他社から調達し、契約はWebで完結させ、少人数で運営します。
ここまでは前提です。もう一つの理由が本質的で、見落とされがちです。
電気の仕入れ値の変動を、誰が引き受けるかで料金プランの性格が決まります。
大手電力の規制料金には、燃料費調整に「法令の上限」を置くことが義務づけられています(資源エネルギー庁)。
規制料金の約款は経済産業大臣の認可を受けて定められており、会社が自由に変えられる自由料金とは仕組みが違います。2023年6月の規制料金値上げも、この認可を受けて実施されました。
新電力の多くは自由料金です。自由料金の調整費に上限を置くかどうかは、会社が約款で任意に決めます。当サイトに登録した新電力353プラン(新電力市場全体を網羅した数ではありません)のうち、法令の上限があるプランは0件でした。

出典:各社の約款・重要事項説明書・料金メニュー定義書(2026年9月時点、当サイトの登録分)。詳しい内訳は新電力だけのランキングで確認できます。
内訳は、会社が任意に決めた「約款の上限」が45件、調整費の仕組みそのものが無いプランが11件、上限なしが297件です。約款の上限は会社の判断で撤廃できます。実際に撤廃された例もあります(後述)。
つまり「自社の発電が安いから安い」のではなく、そもそも発電していないことと、上限という安全弁を持たないことの2つが重なって、平時の単価が下がっています。
ただし、上限の有無だけで毎月の総額が決まるわけではありません。 安いか高いかは、基本料金・電力量料金まで含めた総額で決まります。上限は「価格が急に上がったとき、どこまで負担するか」を示す項目です。
上限の2種類(法令と約款)の詳しい見分け方は、燃料費調整の「上限」は、会社によって意味がまったく違うで説明しています。
上限がないと、何が起きますか?
燃料や市場価格が上がった分が、そのまま調整単価に乗ります。上限のある規制料金との差が縮まり、逆転することがあります。
2022年から2023年にかけて、燃料価格が急騰しました。このとき何が起きたかを見ると、構造がはっきりします。
東京電力の同じ会社の中で比べます。上限のある規制料金(従量電灯B)と、上限のない自由料金(スタンダードS)です。スタンダードSは新電力ではなく東京電力自身のプランですが、法令の上限を持たない点は新電力の自由料金と同じ仕組みです。

出典:東京電力エナジーパートナー「燃料費調整のお知らせ(2023年1月分)」。月額の差は当サイトの計算(260kWh)です。
2023年1月分の調整単価は、上限のある従量電灯Bが5.13円/kWh、上限のないスタンダードSが12.99円/kWhでした。1kWhあたり7.86円の差です。
平均的な使用量の260kWhで計算すると、調整費だけで月2,044円の差になります。同じ会社の中でも、上限の有無でここまで違いました。
新電力の約款の上限は、実際に撤廃された例もあります。auでんきは2022年11月ご利用分から、PinTでんきは2023年5月請求分から、それぞれ約款の上限を撤廃しました。**上限は永久のものではなく、会社の判断で外せます。**予測ではなく、過去に起きた実例です。
2026年9月分では、旧一電と新電力はどれくらい違いますか?
関東・3〜4人家族の目安では、比べた新電力32プランのうち1位のTERASELでんきが677円安い結果でした。
2026年9月分は、関東の平均燃料価格が上限に届いていません。上限のない自由料金が、上限のある規制料金より単価で並ぶか下回る月です。

出典:各社の2026年9月分の調整費の一次資料(当サイトの登録分)。月額は当サイトの計算です。
関東・3〜4人家族(40A・月360kWh)の目安で計算すると、東京電力の従量電灯Bが月11,364円、金額を確認できた新電力32プランのうち1位のTERASELでんき(超TERASEL東京B)が月10,687円でした。差は677円です。
これは関東・この使用量1本の試算であり、特典(キャンペーン)は含みません。エリアや使用量が変われば順位も変わり、来月の順位も約束しません。
全国10エリアの新電力ランキングと、旧一電を含めた全社の比較は、新電力だけのランキングで確認できます。ご自身のエリアといまの会社を選ぶと、比較ページで2026年9月分の試算がそのまま並びます。
新電力が撤退・倒産したら、どうなりますか?
すぐに電気が止まることはありません。通知された期日までに別の会社へ切り替えれば、そのまま使い続けられます。
資源エネルギー庁のよくある質問では、電力会社が倒産・撤退する場合、無契約状態になるまでの期日について会社から通知が来て、原則その期日までに新しい小売電気事業者と契約すれば引き続き電気の供給を受けられると説明されています。
期日までに契約が間に合わなかった場合でも、ただちに電気の供給が止まるわけではありません。ただし無契約状態が長期間続くと、供給が止まることもあります。早めに切り替え先を探すことが必要です。
送配電網はどの会社と契約しても同じ設備です。契約先が供給できなくなった場合、家庭・店舗(低圧)は地域の大手電力の規制料金が受け皿になります。
供給を継続できるか不確かな会社を当サイトが載せないのは、この手間をお客様に負わせないためです。
切り替えたのに安くならなかったのは、なぜですか?
まず使った電力量を確認してください。増えていなければ、上限の撤廃・市場連動・容量拠出金のどれかが原因のことがあります。
「切り替えたのに安くならなかった」と感じたら、次の順で確かめてください。
- 使った電力量や、政府の負担軽減策の額が前の月・前年の同じ月と変わっていないか。 電気料金の明細で確認できます
- 上限が撤廃・引き上げされていないか。 約款の上限は会社の判断で変えられます。変更のお知らせが届いていないか確認してください。詳しくは燃料費調整の「上限」は、会社によって意味がまったく違うで説明しています
- 市場連動型のプランではないか。 電力市場(JEPX)の価格でそのまま決まるプランは、上限のある規制料金より高くなる月があります。詳しくは市場連動型プランは誰に向いていて、誰に向かないのかで説明しています
- 容量拠出金が単価表に載っていないか。 一部の会社では、単価表に出ない費目が電気料金の明細に上乗せされます。詳しくは容量拠出金とはで説明しています
予測ではなく、いまの契約の中身を確かめる作業です。
まとめ
- 新電力は2016年の自由化で参入した会社。登録数は820事業者(2026年9月14日現在)で、旧一電10社を含む
- 安いのは値引きではなく、法令の上限を持たない設計だから。当サイトで確認できた新電力353プランに、法令の上限は0件
- 上限がない分、燃料が大きく上がると逆転する。2023年1月分は東京電力の同じ会社内で1kWhあたり7.86円の差
- 2026年9月分は新電力が優位。関東・3〜4人家族の目安で新電力1位が677円安い
- 新電力が倒産・撤退しても、通知の期日までに切り替えれば電気は止まらない
- 切り替えて安くならなかった原因は、上限の撤廃・市場連動・容量拠出金のいずれかのことがある
自分のエリアといまの会社を選ぶと、新電力の候補と2026年9月分の金額が並ぶのが比較ページです。全国10エリアの新電力ランキングは新電力だけのランキングで見られます。